Le soleil d'Anjou.

運動好きになってきました。いや、軽い運動かもだけれども。


もう少しで引っ越し。
その前にこの地方を、
この地の太陽を味わっておきたくて、
もう一度ソミュールを目指してサイクリングすることにした。
前より早く家を出て、行くだけでなくて観光もしよう、と前日に思いついて計画。


7月23日午前7時前に家を出た、
朝方の日差しが弱いうちに距離を稼ぎたいから。


アンジェ城の横の橋を渡る。
朝の光の温度は気持ちが綺麗になる。


バルザック公園からまずはいつものブッシュメンヌをめざす。

この時間は野うさぎが跳ねている、うれしいなぁ。


ここで電動空気入れが設置されているので、タイヤの圧をよくする。
ブッシュメンヌの橋を渡る、ここから東西に広がるロワール川の北側を走る。


前回でコースを掴んでいるので、地図を広げない分スムーズな展開。
道を間違えたりもしたけれど、かえって近道になった。
コースをそれても、ロワール川を頼りに方向が見えるからるんるんるん。


坂の途中で向日葵畑が広がっていたり、


牛がシッポを振ってくれたり、


苅られた麦のロールが転がったりする。



フランスが私を強く惹き付けるのは、やっぱり田舎の景色だと思う。
泣きたいくらい、叫びたいくらい、やっぱり私はフランスが好きだ。



5時程走って、そろそろソミュールが近付いてきた時、
偶然にも路肩で「きのこ美術館」をみつけて入ることにした。
広大な洞窟が展示室と栽培施設を兼ねており、なかなかのミゴタエ。
中の空気は冷たくて、日差しで火照った体が休まっていく。



野生のきのこを樹脂で固めたサンプルが、まるで宝石みたいに並ぶ。



スピーカーからの短調の旋律で不思議な気持ちになる。
小川洋子の「薬指の標本」を思い出した。


さらに奥へとすすむと栽培施設になっていて、
カビ臭さが増し気温がさらに低下する。






想像もできない奇妙な形のきのこに、はじめて怖いと思った。本当に怖かった。
生き物の、あるいは菌類の神秘的でおぞましい恐怖。
寒気すらしてくる、それくらい異様だった。



中で一人のムッシューがきのこを世話している。
後で聞くと栽培担当の作業員は彼一人らしい。
きのこみたいな人だった、髪型からではない。
彼の存在がきのこに似ている、菌類みたいな人。
触れたら消えてしまいそうな、透けているような人だった。


よく霊長類研究者が猿やゴリラに似ていたり、
犬が飼い主と似たりするが、
きのこの世界もそれは同じらしかった。



世界のきのこグッズを展示した部屋も。


振り向いたら跡形もなくなっていた、みたいな感じのきのこの洞窟。



それから再び自転車を走らせて、1時間程でソミュールについた。
まずは高台にそびえるソミュール城をめざす、想像より大きかった。




暑くて暑くて、日差しが痛くて。
でも乾燥しているので日陰に入ると涼しいのは素敵だ。

街の中心部でアイスとレモンジュース頬張る、生き返る。




ロワール川沿いの景色、ソミュールもすきな街のひとつ。


帰りは電車でぽぽぽっと。




アンジュー地方を満喫のいい一日でした。