Je suis dans la nuage.

ひとり旅をした、とても久しぶりな気がする。
旅の目的は旅をすることにある。


ル・ピュイ・アン・ヴレ
クレルモン・フェラン
ピュイ・ド・ドーム
リモージュ
フランス中央部のオーヴェルニュからリムーザンを巡った。
知らない地を歩くことは最高のしあわせ。


ル・ピュイ・アン・ヴレはオーヴェルニュでも南に位置し、フランスでは珍しい火山帯だ。
サンディエゴ・デ・コンポステーラの巡礼の道のひとつで知られる。


旅の始め、街の西側まで歩く、遠くを眺める。







サン・ミッシェル・デギレ礼拝堂、そこからまた遠くをみる。





自分の中をのぞくみたいに。



岩山のマリア像。




遠くをみつめる。




ここはレース編みの地、反復模様が心地よい。




機械もうごく。



ノートル・ダム・ル・ピュイ大聖堂も、その回廊も、空が近い。




クレルモン・フェラン、とにかく街中を歩いて歩いて、そういう風にして、向き合う。



大聖堂はどの街にもきちんと建ってる。
散歩コースをみっつ歩いて、美術館をふたつ、ギャラリーをひとつ。



夕方から15km南のピュイ・ド・ドームを目指す。


頂上は雲の中だった、霧が濃い。
私は視覚の中のひとりになった。






私は雲の中にいた。


そして、私はまたひとり旅を始めることにした。
精神はこれ以上ないくらい摩耗していたし、感情は麻痺していた。
どこか遠く、誰もいないところに行きたかった。
ひとりは恐ろしかったけれど、一人でなくてはならなかった。
孤独の中にエネルギーを見つけなくてはならなかった。
自分に向き合うのにさえ酷く疲れていた。


だから自然の中に居たかった、私の存在もたった一つの小さな出来事として、受け入れてくれる。
そういう視点が私を救うだろう。
自然は絶対的に超越している。


雲の中に立ち、視野はその霧に塞がれて、風の上からオーヴェルニュが眼下に広がったとき、
私はまたこの国に救われた気がした。
ホオジロが番で私を誘っている、いつかこの幻想を誰かと共有することを夢見て。